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~IoT~

IoTはInternet of Thingsの略で、「モノのインターネット」と訳されています。あらゆる物(モノ)がインターネットに接続されるような世界です。実際に日本の法律では次のように定義されています。

官民データ活用推進基本法第2条第3項

「この法律において「インターネット・オブ・シングス活用関連技術」とは、インターネットに多様かつ多数の物が接続されて、それらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の活用に関する技術であって、当該情報の活用による付加価値の創出によって、事業者の経営の能率及び生産性の向上、新たな事業の創出並びに就業の機会の増大をもたらし、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与するものをいう。」

この技術の具体的な目的は次の二点となるでしょう。先ず、監視・管理対象の機器のデータを収集し、状態を把握し、システム全体を最適な制御下に導くことです。次に、データの蓄積・分析から新たな知見を獲得し、新たなソリューションを開発・提供することです。

そして、IoTが目指す理想とは、センサーと通信機能が組み込まれたモノがインターネットを通じてあらゆるモノと繋がり、互いの情報・機能を補完・共生し合う状態です。今までPCやスマートフォンのみで構成されていたインターネット社会に、家や職場、街中のあらゆるモノを取り込み、お互いの情報や機能をシームレスにやり取りし、活用することによって人間社会をより豊かにすることです。

従来のインターネットでは、SNSのようなヒト同士が繋がるためのサービスであるPtoP (Person to Person)が一般的なものでしたが、機械同士がつながるM2M (Machine to Machine)もありました。IoTでは更に、PtoPとM2Mがインターネット上で重なり始め、最終的に世の中全体がインターネットに繋がっている状態になります。これこそが真の意味でのIoTとなります。一部では「全てがインターネットにつながる」という意味で、IoE (Internet of Everything)と呼ばれ始めてもいます。

IoTの本質は「自動化」にあり、従来人間が手作業でやっていたことを機械が自動でやってくれる、という世界が実現されます。自動化には、センサーとアクチュエータに対応して、「自動認識」と「自動制御」とがあり、具体的には次のような説明になります。

「自動認識」とは情報の自動収集

従来は、データを入力する方法としては、キーボードやマウスや指、あるいは音声などを使って人間がこれを行っていましたが、IoTではセンサーが自動で情報を収集します。つまり、人間が意識しないところで常に情報が集められているのです。
「自動制御」とは操作の自動化:
IoTでは、車の自動運転のように、動力のあるモノ(アクチュエータ)に指示を与えて、自動で動かすこともあります。

上記の自動化を追求して行くと、最終的には人間が全く介在しないシステム、つまり完全な「無人化」も可能になります。センサーとアクチュエータ同士が、自律的にコミュニケーションを取りながら作業を行うような形態です。

ところで、IoT市場は、次のような3段階のプロセスで拡大して行くものと考えられます。

先ず現在のIoTは、ウェアラブル端末、家電製品、自動車、スマートフォンなどに取り付けられたセンサー類から各種のデータを収集し、人の行動や環境変化の状況を把握するものですが、これは消費者の経験をベースとした使用事例となります。

次の段階は、発電・送電網、石油精製、海洋掘削、鉱山採掘、化学品製造等々の現場などで使用されている機械類を、インターネットに接続し、稼働データを収集して保守等に活用するもので、産業用制御システム(ICS)と呼ばれます。

そして更には、医療や金融、運輸などのサービス、製造の自動化の分野で、製品や機器がインターネットに接続される、産業用IoT(IIoT)となります。産業用の機械や製品を作る企業は、単に製品を売る企業からサービス・ベースの企業へとビジネス・モデルをシフトして行き、より付加価値の高いサービスを提供するようになるものと思われます。

IoTシステムは接続する機器の数や種類も多く、複雑なシステムです。企業間で提携したり、技術革新もオープンな方法を選択したりするなど、複数の企業が共同でこのようなシステムを作り上げることも増えてくると思われます。

インダストリー4.0 全体構造の一例