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~ロボット~

ロボットという言葉は、物理的(実体型)ロボットと仮想ソフトウェア・エージェントの両方を指すことができますが、後者は通常ボット*と呼ばれます。どの機械をロボットと呼ぶに相応しいかについて一致した意見はありませんが、専門家の間での一般的な合意として、ロボットは次に列挙するような能力と機能について、その幾つか又は全てを持つ傾向があると言われています。それは、電子プログラムを受け入れ、データや物理的に認知したものを電子的に処理し、ある程度まで自立的に作動し、動き回り、自身の一部又は物理的なプロセスを稼働させ、周りの環境を感知及び操作し、そして知的な行動、特に人間や他の動物を模倣する行動を示すものである、というものです。ロボットの概念に密接に関連しているのは、その性質が機械よりも人間に相当するような実体について研究する、合成生物学の分野なのです。

  • *【ボット:「ロボット」(robot)のIT分野における略語。人間による操作や作業を代替したり、人間の行為を模して人間のように振る舞い、自動的・ 自律的に行動したりするソフトウェアやシステムなどのことを指す。コンピューター上である程度の長い時間稼働し続けて、従来は人間が操作して 行っていたような作業を、一定の条件や規則に基づいて連続して自動的に遂行するプログラムを、機械のロボットになぞらえてこのように呼ぶ。ま た、チャットやSNSなどのコミュニケーション・サービス・システムなどで活動し、人間の発言や行動などを真似て人間のように振る舞う自律的な プログラムなどを指す場合もある】

ロボットは、複雑な一連の動作を自動的に実行することができる機械、特にコンピューターでプログラム可能な機械です。ロボットは外部の制御装置によって誘導するか、本体そのものの中に制御部が組み込まれるかも知れません。ロボットは人間の姿形に似せて構築されることがありますが、殆どのロボットは外観に関係なく、タスクを実行するように設計された機械です。

ロボットは自律型又は半自律型にすることができ、その範囲は非常に幅広いものです。具体的には、ホンダの二足歩行する人型ロボットのASIMOや、ベトナムのTOSY社のピンポン競技ロボットのTOPIOなどのヒューマノイド*から、産業用ロボット、医療用ロボット、患者支援ロボット、ドッグ・セラピー用ロボット、軍事用ロボット、掃除用ロボット、搾乳ロボット、集団としてプログラムされた群ロボット、General Atomics社のMQ-1 PredatorなどのUAV**ドローン、更には超微細なナノ・ロボット***までを網羅しています。本物そっくりに外観を模倣したり、動きを自動化したりすることによって、ロボットは知性あるいはそれ自身の思考を持つように感じさせるかも知れません。自律型のものは今後の10年間で大幅に増加すると予想されますが、その主な要因の一部として家庭用ロボット****と自律走行自動車が挙げられます。

  • *【ヒューマノイド:humanoidとは、英語のhuman(人)と接尾辞-oid(-のようなもの、-もどき)を組み合わせた単語で、形容詞としては「人間そっ くりの」や「人間によく似た」という意味であり、名詞としては、人間に似た生物や人型ロボットなどを指して用いられる】
  • **【UAV:Unmanned aerial vehicleのことで、人が搭乗しない(無人機である)航空機のこと】
  • *** 【ナノ・ロボット:大きさが1マイクロメートル以下のロボットであるか、または1000ナノメートル未満の大きさの物体を扱えるロボット】
  • ****【家庭用ロボット:家庭で用いられるロボットで、その多くは家庭での生活を助ける目的のものであり、何らかの家事を補助するロボットである。また、人とコミュニケーションを行い、人の心を癒すことを目的としているものもある。パートナー・ロボット、癒し系ロボット、掃除用ロボット、介護・福祉ロボット、自立支援ロボットなどがある】

ロボット自体の設計、構成、操作、適用に関する技術と、それらの制御、感覚フィードバック、情報処理を行うためのコンピューター・システムに関する技術の、両者を取り扱う技術分野がロボット工学です。これらの技術は、危険な環境や製造工程において人間の代わりをすることができるような、或いは外観、動作、認識において人間に似ているような、自動化された機械を取り扱います。今日のロボットの多くは自然に触発されたもので、バイオ・インスパイアード・ロボティクス(生物にアイデアを得たロボット工学)の分野に貢献しています。これらのロボットは、ロボット工学の新しい分野である、ソフト・ロボティクス*をも生み出しました。

  • *【ソフト・ロボティクス:ロボティクスの特定のサブフィールドであり、生体に見られるものと同様に、非常に柔軟性の高い材料からロボットを構成 することを取り扱う。ソフト・ロボティクスは、生きている有機体が動き、周囲に適応する方法から大きく影響を受けている。硬い素材で作られた ロボットとは対照的に、ソフト・ロボットでは人間の周りで作業するときの安全性が向上し、仕事を達成するための柔軟性と適応性も向上する。こ れらの特性は、医療や製造の分野において利用できる可能性がある】

古代文明の時代から、主に娯楽用として設計された、ユーザーが構成可能な自動化装置、更には動物や人間に似たオートマトン*についてさえも、多くの報告が為されて来ました。産業時代を通じて機械的技術が発展するにつれて、自動機械、遠隔制御および無線遠隔制御などのより実用的な用途が出現しました。

  • *【オートマトン:automaton、オートマタautomata(複数形)とも呼ばれる、自己作動型機械のこと。所定の一連の操作に自動的に従うか、又は所 定の指示に応答するように設計された機械または制御機構である。機械式時計の鐘撞人形のようなオートマトンの中には、人形が自分の力の下で動 作しているという錯覚を、事情を知らない人に与えるように設計されているものもある】

ロボットという用語はチェコ語のrobotaから来ており、「強制労働」を意味しています。チェコの作家、カレル・チャペック(Karel Čapek)による1920年の戯曲R.U.R.(Rossumovi Univerzální Roboti、英語ではRossum's Universal Robots、ロッサム万能ロボット会社)で、架空の人型ロボットを示すものとして、「ロボット」という言葉が最初に使用されました。しかし、この言葉の真の発明者は、カレルの兄であるヨゼフ・チャペック(Josef Čapek)でした。そして、電子工学が進化して開発の原動力となり、1948年にイギリスのブリストルで、ウィリアム・グレイ・ウォルター*によって製作された、最初の電子自律ロボットや、1940年代後半にジョン・T・パーソンズとフランク・L・スチュレン**によって開発された、コンピューター数値制御(CNC)工作機械の出現に至りました。最初の商用の、デジタルでプログラム可能なロボットは、1954年にジョージ・デボル***によって特許が出願されました。そして実際の製品は1961年にゼネラル・モーターズに売却され、ニュージャージー州の工場でダイカスト・マシン****から熱い金属片を持ち上げて積み重ねるために使用されました。

  • *【ウィリアム・グレイ・ウォルター:William Grey Walter、米国生まれの英国人の神経生理学者、サイバネティクス(人工頭脳学)専門家、ロボッ ト研究家】
  • **【ジョン・T・パーソンズとフランク・L・スチュレン:John T. Parsons、Frank L. Stulen、共に米国人であり、パーソンズが社長、スチュレンが  エンジニアリング担当の副社長を務めた会社で、機械加工問題を解決するために、コンピューター法を使用した最初の人達】
  • ***【ジョージ・デボル:George Devol、米国の技術者、起業家で、産業における生産業務の最初の資材運搬ロボットであるユニメートは、1961年に  米国のユニメーション社が実用機としての産業用ロボットとして発表した】
  • ****【ダイカスト・マシン:金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量に生産する鋳造方式の装置】